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阿弥陀

お坊さんの小話(法話)
浄土真宗


其の十二
【 輝き 】

 鯉ヘルペスに始まりBSE、鳥インフルエンザと私達の食生活を脅かす細菌汚染があちこちで報告されています。それでなくても三人~四人に一人はガンなどの生活習慣病だと言われてもいます。でも誰もそんな危機感とは無関係とばかりに、毎日を忙しさの中なんとなく過ごしているのではないでしょうか?かくいう私も例外ではあません。

 そんな時、テレビの情報番組で紹介されていた一人の中学教師の真摯な生き方に激しい衝撃を受けました。

 その教師の名前は三戸学さん。生徒達からは親しみをこめて「がくちゃん先生」と呼ばれています。彼は、子供の頃の脳性マヒで体が思うように動かないにも関わらず、二度の失敗をものともせず教師の資格を取得し、現在青森の中学校で数学の教鞭をとっています。しかし、黒板に字を書くこともままならない彼は、パソコンで自分なりの教材を作ったり、図形は生徒達に書いてもらったりと、今自分に出来る精一杯の姿で授業に取り組んでいます。さらに、クラブ活動では、卓球部の顧問を勤め、自分自身もパラリンピックを目指し、青森の県障害者卓球大会では優勝してしまうほどです。

 そんな彼には、大きな夢があります。それは、いずれ担任を持ちたいと云う事です。全生徒の父兄のアンケートによると、彼の頑張りは認めるが担任となると不安は隠せないとの意見が半数以上あるそうです。現実の壁です。彼は「その現実」を受け入れます。それは「仕方の無い事」なのですと。でも…いつかはきっと…と話すその姿は、輝いていました。

 そして、その輝きは伝染していました。彼の学校の生徒達に…。日々の学校生活の中に、一人の障害を持つ教師が一生懸命生きていることで、ごく自然にその人生に対する姿勢を学び、ごく自然にその障害を受け入れ手を差しのべている。当たり前のことのように、他人を思いやる心を身につけている。これこそ、今の学校で教えようとして教えられないでいる事なのではないだろうか。

 私達も「一生懸命」になってみませんか。遊びでもスポーツでも、趣味でも仕事でも恋愛でも…。その「一生懸命」が、自分を輝かせそしてまわりの人達も輝かせる事にきっと繋がっていくはずです。

釋 完修
合掌
[2004/03]

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