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阿弥陀

お坊さんの小話(法話)
浄土真宗


其の二十六
【 お荘厳・1 】

 友達の僧侶(同級生)から電話が掛かってきた。お葬式が出来てどうしても二軒のお宅の月参りがいけないと。二軒とも、つい最近お仏壇を求めて月参りに行っている家なので、休んだり、日を変えたりするのは忍びないので代わりを頼むとの事だった。困った時はお互い様、ふたつ返事で引き受けた。

 言われた日・時にそのお宅を訪ねた。「こんにちは。お参りにまいりました」そう言って仏間に案内してもらった。仏壇の前に座り蝋燭に火を点ける。線香に火を点け土香炉に置き、お焼香。静かに合掌しご本尊を仰ぎ見る。じっと見る「う…ん…?」もう一度仰ぎ見る。じっと見る「う…ん…?」御本尊の前にどういう訳か食パンが。それも綺麗に四角く切って5段重ねになっている。「おぼくさん…か…?」合掌を解いて、向き直って私「初めてお参りさせてもらってこういうのもなんですが、アレなんですか?」するとそのお宅の奥さん「はぁ、お里のお祖母さんに聞いたら『おぶっぱん』あげんなんよって言われたんで『パン』あげたんですけど」軽い目眩がする答えが返ってきた。奥さん『おぶっぱん』の『ぱん』はカタカナ(パン)じゃなくて漢字(飯)ですよ。漫才のボケとツッコミのような会話になってしまった。(笑)

 よし!気を取り直して次のお宅へ。でもなんかイヤな予感がする。「こんにちは。お参りにまいりました」お仏壇の前に座り、蝋燭、線香、焼香、合掌。そして御本尊を仰ぎ見る。おいおいまたか…。今度は本尊前にコンビニのおにぎりが封をしたまま置いてある。「こんぶ」のおにぎりらしい。合掌を解いて、向き直って私「あのう…初めてお参りさせてもらってこういうのもなんですが、アレなんですか?」そのお宅の奥さん曰く。先日御坊さんに「ご飯あげとかなんよ!」って言われたんで、お祖父さんおにぎり好きやったから買ってきたんですけど…ダメでしたかねぇとの事。頭が痛くなってきた…。「ちょっと失礼します」そう言ってお仏壇の中を探して「仏器」を発見!これにご飯盛るんですよ。「ありゃ、こんな盃みたいなもんに?」とそのお宅の奥さん。つ…疲れる。(お荘厳・2につづく)

釋 完修
合掌
[2009/03]

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